萱場研究室では、主として2つのプロジェクトに参画しています。

(1)JST共創の場形成支援プログラム

「流域治水を核とした復興を起点とする持続社会」

詳細はこちら⇒ ホーム | 緑の流域治水研究機構 (pu-kumamoto.ac.jp)

当研究室では、この中の課題1「1-a 時間変化項を考慮した水理水文現象の解明」を担当するとともに、萱場が課題1のリーダーを務めています。課題1では、流域治水を表現できる水理水文モデルの開発、具体的な流出抑制技術、氾濫流コントロール技術の開発を行い、環境との共生も図りながら、現場への実装を試みます。

(2)河川砂防技術開発公募

「気候変動と流域治水シナリオに基づく生物多様性評価とハビタット管理手法の提案」

本研究は、中部地方整備局からの受託研究です。令和4年度にFS研究(フィージビリティスタディ)を終え、一般研究への審査をパスして、令和5年度より5カ年で研究を実施します。対象は長良川、揖斐川であり、研究背景、目的は以下のとおりです。

(背景・課題)

2010年に生物多様性総合評価が公表され、河川、池沼、湿地など陸水域の生物多様性は過去50年間で著しく損失していることが示された。気候変動に伴う降雨量の増大等を背景に打ち出された「流域治水」は、流域(堤内地)における雨水貯留を積極的に進めるため、劣化・消失した陸水環境の再生に寄与する可能性がある。また、流域での貯留による河道分担流量の抑制は大規模な河道掘削を防ぎ、河川環境の劣化抑制に資すると考えられる。一方で、河道分担流量の抑制により改変程度が小さくなった河道掘削については断面を工夫することで湿地等の創出に繋がるとの報告がある。つまり、流域治水は流域・河道の双方に対して陸水環境の保全・創出に資する可能性がある。しかし、その具体的効果は不明であり、今後の研究に期するところが大きい。

(研究目的)

流域治水は、1)流域(堤内地)での貯留空間の増大に伴う陸水環境の再生、2)河道分担流量の抑制による河道への過度な人為インパクトの回避、3)掘削方法の工夫による河川環境の保全・創出に、繋がる可能性がある。本研究では1)~3)を検討し、流域治水が生物多様性の損失回避・向上に資する程度を評価するとともに、生物多様性保全の視点から流域治水の進め方に関する基本的な考え方を示すことを目的とする。